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第19回:部下が「遅れる報告」をしてこない 

メルマガ,PMざっくばらん相談室

第19回は、杉本さん(仮名)からの悩みです。

杉本さん 32歳/PM歴6年/IT企業のプロジェクト・リーダー

私には部下が5人いるのですが、その中の1人の作業が計画上の締切に間に合わないことがよくあります。

また、彼は、遅れる可能性があることを報告してこないで、最後の最後まで粘るので、遅れる報告を受けたときには、いつも打つ手がごくごく限られてしまいます。

何度か注意したのですが、一向に改善されません。なにかいい手はないでしょうか。

回答

なるほど、リーダーとしては、作業の遅れは大変気にかかるでしょうし、報告が上がってこないことも、ストレスに感じていることでしょう。

でも、もしかしたら、そのメンバーこそが正直なメンバーではないですか。

不確実性の高いプロジェクトにおいては、「もっとも可能性の高い工期」を見積もって計画しているとすれば、実は計画通りにいく可能性よりも、遅れる可能性が多いことを十分に認識しているでしょうか。

計画よりも工期が早まる場合は、これ以上絶対に早くならないという限界があります。

一方、計画よりも工期が遅れる場合は、理論上は無限大まで遅れる可能性があります。
ただし現実的には、遅れる幅は、早まる幅よりやや大きいか2-3倍くらいでしょうか。

たとえば、作業A が不確実性の高い作業で、もっとも可能性の高い工期が10日だったとすると、

  • もっとも早くなる場合の工期(楽観値)は 8日
  • もっとも可能性の高い工期(最可能値)は 10日
  • もっとも遅い場合の工期(悲観値)は 16日

という見積もりになります(実際の値は、業務の不確実性次第です。)

つまり、工期の可能性の分布は、早まりと遅れが等分な正規分布ではなく、遅れの幅のほうが広い、非対称な分布なのです。

したがって、不確実性の高い作業の工期を本当に最可能値で見積もった場合は、「計画通り」(上記の工期で8日、9日、10日)という報告より、「遅れそうだ」(上記の工期で11日、12日、13日、14日、15日、16日)という報告が多いのは自然です。

いつも「計画通り」と報告してくるメンバーは、実は見積もりに余裕を隠している可能性があります。

では、なぜメンバーは余裕を隠したり、遅れそうでも、ぎりぎりまで報告しないのでしょうか。
それはたいてい、遅れそうだと報告するとリーダー(あなた)が「なぜ、遅れるのか」と問いただすからです。
しかもときには怒気を含んだりしていませんか。

メンバーに最可能値での見積もりを求めるなら、リーダーは、遅れる可能性が高いことを覚悟しなければなりません。
不確実性が高い作業は、メンバーが努力していても特別な理由なしに遅れることがあります。

遅れる見込みの報告が早く欲しいなら、報告を受けても、問いただしたり、批判してはいけません。

報告を冷静に受け止めて、善後策を考えます。あなたが「遅れそう」という報告を冷静に受け止めることがメンバーに伝われば、メンバーも無理に報告を遅らせたり、余裕を隠したりしなくなります。

プロジェクトマネジメントでは、率直なコミュニケーションが生産性を上げます。

「不確実性の高い作業の工期は、最可能値より遅れる可能性が高いことを認識して報告を受ける」
ぜひお試しください。

あらゆるお客様の「プロジェクトの成功」をサポートしていくことが、
アイシンクの最大の使命と考えております。

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