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ホームアイシンクインフォメーション第5回:ラヂオの時間(1997年日本映画)PM系講師 梅田拓

第5回:ラヂオの時間(1997年日本映画)
PM系講師 梅田拓

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今回はコメディ色の強い、この映画を題材にしてみたいと思います。

よくご存じの方、お好きな方もいらっしゃると思いますが、日本の代表的脚本家、三谷幸喜氏による舞台作品を映画にしたものが今回のお話です。

この映画の題名からも想像できる通り、ラジオドラマの現場で起きるお話です。ある主婦が手掛けたドラマのシナリオが、ラジオドラマ化されることになりましたただし、このラジオドラマが生放送!なのでやり直しがききません。

そんな状況にもかかわらず、いわゆる声を担当する俳優たちのわがままが止まりません。ラジオ局側のプロデューサーは、俳優らとの仕事の関係性からこれを無視できず「わかりました、ではそうしましょう」と、放送直前にも関わらず変更要求を受けてしまいます。この変更によって、そもそも「日本が舞台の主婦と漁師」の話だったはずが、「シカゴが舞台の弁護士とパイロット」の話にと大きく内容が変わってしまい、放送現場のスタッフは大慌て。特殊な効果音、機材等々、準備できていないものが出てくる始末。当然のことながら、放送予定のシナリオは破たんをきたし、シナリオを書いた主婦も直前での変更依頼でテンパってしまい果たして、最後まで無事に放送できるのか??という、ドタバタ劇となっています。

通常はコメディ映画として楽しんでいただいて何の問題もないのです…が、さて、これをどうやってプロジェクトマネジメントとして調理するか。

みなさんがこれまで実際に手掛けたプロジェクトで、最初に計画を決めた後、いっさい「変更」が入らなかったプロジェクトというのは、まずありえないでしょう。急速に変化し続ける社会、経済情勢の中において、発注元の意向や要求が、微妙に、時に大胆に変更されるのは、日常茶飯事とまでは言いませんが、当たり前に起こることでもあります。

ただし、そうした変更によって時には大混乱をきたしているプロジェクトもあれば、粛々と上手くマネジメントして回しているプロジェクトもあります。この違いは何でしょうか?カギは「変更管理」の手続きにあります。

映画の中では、ある意味「目の前の要求だけにフォーカスして要望を飲んだり、その場限りの約束をしたり…」を繰り返すことにより、ラジオドラマ全体が支離滅裂な内容に変貌していき、スタッフなども大混乱に陥ります。それを面白おかしく描いたのが今回の映画ですが、あなたが参加していた仕事、プロジェクトで、これと似た状況が起きたことはありませんか?さすがに、この映画ほどひどい状況に陥っていなかったとしても、たとえばこんな場面に遭遇したことはないでしょうか?

『どうやらココは変更した方がいい、という意見が飛び交い始めていて、賛成派、反対派がいろいろと分析したり、意見を戦わせている。ところで、この変更、誰がOKを出せばやることになるんだろう?いや、誰がNGだと決断することができるんだろう?誰?それは誰?』

PMBOKでは、こうした「変更すべきか、変更しなくていいのか」を判断する仕組みとして「変更管理システム」、判断する担当組織として「変更管理委員会(Change Control Board 略称CCB)」の設置を提唱しています。CCBが「よし、変更OK!」と言えばOK。「だめだ、その変更では期日までに/予算内ではやりきれない。なのでNG!」と言えばNG。もちろん単純に「決めるだけ」ではなく決定するためには、それに必要な様々な情報、スケジュールやコスト、そもそものスコープとしての整合性等々が検証された上でなされるのは当然のこと。

映画「ラヂオの時間」の中において、あれほどまでドタバタになってしまったのは、「その場を取り繕うことのみ」の変更を受け入れてしまったため。その変更をしたら、どこに破たんをきたすのか、どんな矛盾を生み出すのかなどを考え、判断すべきだったはず(まぁ、それではスラップスティック・コメディにはならないのですが)。
同様に、皆さんの仕事の現場において、変更管理委員会としての役目を担っているのは誰と誰なのか?わかりやすく言い換えれば、「誰がOKと言えばGoなのか?誰がNGと言えばNo-Goなのか?」その決定者は決まっていますか?

とはいえ、この映画は、その「ドタバタを楽しむ」ために作られたもの。現実のラジオドラマの現場において、直前に大幅な変更が加わることはまずありえないでしょう。
ただ、皆さんの仕事の現場で結構笑えないような変更が、GoともNo-Goとも定まらずに現場に落ちてくることはなかったでしょうか?そんな時には今一度、この映画を思い出していただけるのではないかと思います。

「ラヂオの時間」の結末は、ぜひご自身でお確かめください。

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