アイシンク株式会社は、2026年6月10日~11日に韓国・ソウルで開催された「PMI Global Summit Series APAC in Seoul 2026」に参加いたしました。
本サミットには40か国以上から約400名が参加。IT、コンサルティング、エネルギー、建設、金融サービス、ヘルスケア、宇宙、政府関係など幅広い分野からプロジェクトマネジメントに携わる方々が集まりました。
今回のテーマは、2025年のPMI Global Summitに引き続き“More Together”。互いの成長を分かち合い、共により大きな成果を生み出すというメッセージのもと、AI、リーダーシップ、PMO、大規模プロジェクト、アジリティなど、これからのプロジェクトマネジメントを考えるさまざまな議論が行われました。
本記事では、現地で得られた知見の中から、特に印象的だった内容を抜粋してご紹介します。

開催概要
イベント名: PMI Global Summit Series APAC in Seoul 2026
主題: “More Together”(互いの成長を分かち合えれば、共に可能性の限界を超えた成果を生み出すことが出来る)
開催日: 2026年6月10日(水)~11日(木)
会場: グランド・ハイアット ソウル
参加規模: 約400名(40か国以上)
主な内容: 基調講演、ブレイクアウトセッション、ATP Honors表彰式
1.アイシンクが「ATP Honors」シルバーを受賞
今回のサミットでは、PMIのAuthorized Training Partner(ATP)を対象とした「ATP Honors」の表彰式が開催され、アイシンクは「Instructor-Led Training Leadership Honor」部門においてシルバーを受賞しました。
この部門は、PMP®資格、CAPM®資格などの試験対策研修において、市場で優れた実績を示した研修機関が選出されるものです。
アイシンクは25年にわたりPMP®試験対策講座を提供してきました。長年積み重ねてきた取り組みをPMIから評価いただけたことを、大変嬉しく感じています。
表彰後のレセプションでは、APAC各国のATPやPMI関係者との情報交換も行い、日本市場におけるPMI資格の今後の可能性についても意見を交わすことができました。
今後もPMIとの連携やグローバルな最新情報を活かしながら、より実践的なプロジェクトマネジメント教育を皆様に提供してまいります。

2.AIはPMを「代替するもの」ではなく「支援するもの」
今回のサミットでも、大きなテーマとなっていたのがAIとプロジェクトマネジメントの関係です。
基調講演「Human Potential in the Age of AI(AI時代の人間の可能性)」では、AIによって文書作成、分析、判断材料の整理などが効率化される一方、過度にAIへ依存することで、記憶力、集中力、批判的思考、共感力などが弱まる可能性についても指摘されました。
重要なのは、AIを単に「答えを出してくれる存在」として使うのではなく、人間が目的や目標を設定し、AIから得た情報を検証し、最終的な判断を行うことです。
また、人間の知性は一人で完結するものではなく、対話や協働、信頼関係によって発展していくことから、AI時代だからこそ、批判的思考、適応力、好奇心、集合知といった力がPMに求められるという議論もありました。
別のセッションでは、AIを活用したプロジェクトにおける「信頼」もテーマとなりました。
AIによるダッシュボードが「順調」と示していても、実際の現場ではチームが疲弊していたり、関係者間に問題が生じていたりする可能性があります。
AIはデータから「何が起きているか」を示すことは得意でも、なぜ起きているのか、現場の人がどう感じているのかまで、すべてを捉えられるわけではありません。
そのためPMには、AIの出力をそのまま正解として扱うのではなく、「何が抜けているのか」「なぜこの結論になったのか」を確認し、AIと人間それぞれが担う役割を設計することが求められます。
AI活用が進めば進むほど、人間の判断力や説明責任の重要性はむしろ高まっていく。これは今回の複数のセッションに共通していたメッセージでした。

3.プロジェクトが大きくなるほど、「統制」だけでは成功しない
「The Gigaproject Reality: Why Collaboration Drives Success Beyond Control」では、空港開発などの巨大プロジェクトを題材に、大規模プロジェクトの成功要因について議論されました。
大規模プロジェクトの難しさは、単に予算や期間が大きいことではありません。
関係者、契約、リスク、社会への影響など、多くの要素が複雑に絡み合うため、従来型の「管理・統制」だけでプロジェクトを動かすことには限界があります。
そこで重要になるのが、透明性と協働です。
例えば、リスクを単にベンダー側へ移転したとしても、問題が発生すれば最終的にはプロジェクト全体へ影響します。そのため、ダッシュボードやリスク情報を関係者間で共有し、全員が同じ状況認識を持ちながら進めることが重要だと説明されました。
また、プロジェクトの初期段階で目的、責任、判断基準をそろえることの重要性も強調されました。構想段階なら小さな修正で済むことでも、設計・実行段階まで進めば、大きな変更コストにつながるためです。
このセッションを通じて改めて感じたのは、PMは単なる「進捗管理者」ではないということです。
関係者をつなぎ、認識をそろえ、リスクを共有し、協働できる環境をつくる。
プロジェクトが複雑になればなるほど、こうした「人と人をつなぐマネジメント」が成果を左右するのだと感じました。

4.PM・PMOの役割は「管理」から「価値創出・意思決定支援」へ
今回のサミットでは、AI以外にもPMOやアジリティ、プロジェクト成功における人的要因など、さまざまなテーマが取り上げられました。
特に印象的だったのが、PMやPMOの役割そのものが変化しているという点です。
「PMO as a Strategic Enabler」のセッションでは、PMOは従来の進捗管理・統制・レポーティングを中心とした機能から、経営戦略を実行に移すための戦略的支援機能へ進化していると説明されました。
単に「プロジェクトが予定通り進んでいるか」を確認するのではなく、
どの投資が価値を生み出すのか。
どこに価値実現を妨げるリスクがあるのか。
こうした情報を経営へ示し、意思決定を支援することが求められています。
また、プロジェクト成功の人的要因を扱ったセッションでは、手法やプロセスだけではなく、リーダーシップ、組織文化、協働、心理的安全性などが成果を大きく左右することも議論されました。
プロジェクトマネジメントとは、決められた工程を予定通り進めることだけではありません。
価値を生み出すために意思決定を支援し、多様なステークホルダーをつなぎ、組織としてプロジェクトを前へ進める。
PMに求められる役割が、より広いものへと変化していることを改めて実感しました。

今回のサミットを通じて
今回のPMI Global Summit Series APACへの参加を通じ、AIの進化によってプロジェクトマネジメントの仕事が大きく変わりつつある一方、人間だからこそ担える役割の重要性は、むしろ高まっていると感じました。
AIによって情報収集や分析、成果物作成のスピードは今後さらに向上していくでしょう。
一方で、プロジェクトの目的を定めること、異なる立場の人々の合意を形成すること、曖昧な状況で判断すること、その判断について説明責任を負うことは、依然として人が担うべき重要な領域です。
また、PMO、アジリティ、ギガプロジェクトなどの議論からも、PMにはスケジュールや工程を管理するだけでなく、「価値創出」「意思決定支援」「ステークホルダーをつなぐこと」が、これまで以上に求められていることを再確認しました。
アイシンクでは、今回得られた国際的な最新動向やAIに関する知見を、PMP®資格・CAPM®資格をはじめとした公開講座や企業研修、PMO・プロジェクト支援などへ反映し、皆様のプロジェクト成功をより強力に支援してまいります。